秋の花粉症の時期と症状は?
花粉症は春だけの現象ではありません。一般的に、花粉症と聞くとスギ花粉症を思い浮かべやすいですが、実際には日本だけでも60種類以上の花粉症が報告されており、一年を通じて花粉症になる可能性があります。しかし、花粉症の症状に悩まされる人が最も多いのは、やはり春と秋です。花粉症の患者のうち、約15%が秋に症状を訴えています。秋の花粉症は秋特有の植物によるもので、夏の終わりから10月にかけて目や鼻の症状が現れます。これらの症状は、原因となる植物によって若干異なる場合があります。
また、スギ花粉症を患っている人は、秋の花粉症も発症しやすいと言われています。
秋の花粉症の種類
秋の花粉症の主な原因は、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの草の花粉です。ブタクサとヨモギはキク科に、カナムグラはアサ科に分類される植物です。これらはごく普通の植物であり、住宅地やオフィス街にもよく見られます。草の花粉は、スギやヒノキなどの木の花粉と異なり、遠くまで飛ぶことはありません。その飛距離はせいぜい数メートルですが、身近な場所に存在するため、うっかり近づくと花粉を浴びてしまいます。
ブタクサは秋の花粉症の代表的な植物です。日本で最初に報告された花粉症は、1961年にスギではなくブタクサであったことから、花粉症の歴史があります。
ブタクサの花粉は主に午前中に飛散し、粒子が小さく身体の奥深くまで侵入します。気管支まで届き、喘息のような症状を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
秋の花粉症の飛散時期は?
ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉飛散期間は、8月から10月までです。ピークの飛散量は9月ですが、これらの花粉は東北や関東地方で多く見られます。特に関東地方では、ブタクサの花粉が長期間にわたって飛散し、12月頃まで見られることがあります。
秋はハウスダストも増える季節
家の中で症状が強くなる場合、花粉症だけでなくハウスダストの可能性も考えられます。ハウスダストには、室内のホコリやダニ(死骸も含む)、ペットの毛、人の髪の毛、フケ、カビなどが含まれます。
夏の暑い時期に繁殖するダニは、秋になると死滅しますが、その死骸は小さく非常に軽いので、人の動きや空気の流れによって舞い上がります。これがアレルギー症状の原因となります。
ダニアレルギーの場合、鼻炎症状だけでなく喘息に進展することもありますので、注意が必要です。花粉症対策が効果的でない場合や、外出していないにもかかわらず症状がある場合は、部屋の掃除を徹底的に行うなど、ハウスダスト対策をしましょう。
風邪にも注意を
秋は気温が下がり、乾燥してくる時期のため、風邪の原因となるウイルスの活動が活発になり、風邪が流行り始めます。
くしゃみや鼻水の症状が現れると、「風邪かも」と思う方が多いかもしれませんが、花粉症の可能性も忘れてはいけません。
ブタクサの花粉症では、花粉が気管支に侵入し、喘息のような症状が現れることがあります。熱がないのに咳が長引く場合は、花粉症の可能性も考えられます。
風邪と花粉症では、治療法が異なるため、自身の症状を風邪と判断せず、くしゃみや鼻水、咳などの症状が現れた際には、病院で診察を受けることが大切です。
秋花粉の対策
秋の花粉症に関しては、スギやヒノキのように花粉飛散情報が知らされることはありません。自宅や職場、学校の周辺や通勤・通学路、散歩やジョギングコースなどで、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの秋の花粉症の原因となる植物がないかを確認し、近づかないように心がけましょう。
秋の花粉症対策でも、なるべく花粉を吸い込まないことが大切です。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラは庭や周辺に雑草で生えることがあるため、その葉の形や特徴を写真などで覚えておき、花が咲く前に取り除くようにしましょう。
効果的な対策の例
これらの対策は春の花粉症と同様に有効です。
- マスクや花粉症用のメガネを着用する
- 花粉がつきにくい素材の服を着用する
- 帰宅時には玄関前で花粉を払う
- 帰宅後には洗顔やうがいを行う
- 定期的に掃除する
- 空気清浄機を利用する
など
なお、症状が辛い場合は、内服薬や点眼薬、点鼻薬を使用して症状を緩和し、良質な睡眠を確保することも重要です。