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耳鳴りとめまい

耳鳴りとめまい

めまいと耳鳴り

めまいは耳の機能に異常があって起こっている事が多い症状です。他にも、中枢(脳)が原因となって生じる事がありますが、めまいの原因が耳と脳のどちらにあるのか症状だけでは分からない場合も重心動揺検査で判断できます。耳や脳以外では顔面神経麻痺によってめまいが生じる事もあり、その場合は表情に関する症状が伴いますのではっきり鑑別できます。
耳鼻咽喉科では、めまいの症状がある場合に、聴力検査、眼振検査をまず行います。眼の動きは内耳で得たバランス感覚の情報によって調節されていますので、眼の動きを調べる事で内耳の状態を分析できます。さらに、必要があれば重心動揺検査を行って診断します。
なお、内耳にはバランスを保つための器官と聞こえに必要な器官が隣接し、つながっている事から、めまいの症状に耳鳴りなど聞こえの症状が伴う事が多くなっています。
めまいと耳鳴りの症状があり、難聴も伴う場合は、突発性難聴やメニエール病の可能性があります。突発性難聴は治療が難しい疾患ですが、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診する事で聞こえを改善できる可能性が高くなります。耳鳴りや難聴を伴わない激しいめまいの症状がある場合には、良性発作性頭位が強く疑われます。良性発作性頭位のめまい症状は回転性でかなり強いのですが、治しやすいめまいです。
めまいは日常生活に大きな支障を及ぼす症状ですので、早めに耳鼻咽喉科を受診して原因をしっかり確かめ、適切な治療を受ける事が重要です。

重心動揺検査とは

重心の変化を調べてバランスの維持に関与する機能の状態を確かめる検査です。
三角形の測定台に直立し、最初は眼を開いた状態で重心の変化を調べ、短い休憩を挟んで今度は眼を閉じた状態でも測定します。計測はそれぞれ検査台に乗ってから1分程度です。重心の変化はコンピューターによって自動的に分析されます。
客観的に平衡感覚を評価でき、障害の程度の把握に役立ちます。また、めまいの原因が内耳と脳のどちらにあるのかもはっきりと分かります。診断に使われる他にも、治療効果の判定や経過観察時にも行われ、その時点で最適な治療方針を立てるために大きく役立つ検査です。

めまいの原因となる耳鼻咽喉科疾患

メニエール病

めまいに、難聴、耳鳴、耳の詰まったような感覚などを伴う事が多くなっています。めまいの前後に聞こえが悪くなる症状を起こし、めまいが治まってしばらくすると聞こえも回復するという経過をとる事が多くなっています。めまいを繰り返すと症状が悪化しやすくなる傾向がありますので、早めの受診が重要になります。症状が悪化すると、特定の症状が強く出る事もあります。
メニエール病のめまいは、内耳のリンパ液が過剰になるリンパ水腫が原因となって生じており、内リンパ水腫を軽減するためのお薬による治療が行われます。発症にはストレスの関与も指摘されており、生活習慣の見直しも重要になってきます。他にも平衡感覚訓練、手術など治療の選択肢が幅広く、症状や状態、ライフスタイルなどに合わせた治療の選択が可能です。

良性発作性頭位めまい症

頭部を動かす特定の動作によって、回転性の強いめまいを起こします。トリガーになる動作には、寝返り、下を向く、振り向く、首をかしげるなどがあります。めまいの症状を起こす疾患では最も発症頻度が高い疾患であり、難聴や耳鳴りなど聞こえに関する症状を伴う事はありません。良性発作性頭位めまい症のめまい発作は数秒から数十秒続いて治まります。
内耳にある耳石器から耳石の1部がはがれて半規管の中で動き、その刺激でめまいを起こしています。半規管は平衡感覚を得るという働きを持っていますので、それが刺激される事で激しいめまいを生じます。
患者様の眼の動きを確認しながら頭を動かす事で耳石がある位置を医師が判断でき、耳石を元の位置に戻す耳石置換法を行う事で症状を改善できます。世界がグルグル回っているように感じるほど強いめまいを起こしますが、治しやすい病気です。

前庭神経炎

内耳の前庭三半規管と脳を結ぶ前庭神経に炎症を起こしている状態です。ウイルス感染などによって生じ、左右どちらかの前庭三半規管の働きが低下してバランスを崩す事でめまいを生じます。聞こえの症状を伴わず、じっとしていてもめまいの症状が治まらないという特徴があります。治療では安静を保ち、めまい止め・神経改善薬・循環改善薬などによる薬物療法を行います。

聴神経腫瘍

内耳神経にできる神経鞘腫という良性腫瘍によって、耳鳴や難聴、めまいなどの症状を起こします。聞こえに関する症状が強く出る傾向があり、聴力検査で判断できます。診断には、脳MRI検査が有効です。なお、腫瘍のサイズが小さい場合にはほとんどの場合、経過観察となります。

自律神経失調症

自律神経は、心臓の拍動や血圧、呼吸、消化など無意識に行われている体の機能をコントロールしています。自律神経が過剰に緊張する、または調整に障害が生じると、めまい、頻脈、息切れ、全身倦怠感、頭痛、肩こりなど様々な症状を起こします。急に立ち上がると血圧が低下してしまう起立性低血圧も自律神経の失調によって起こります。低血圧の程度によっては昇圧薬を処方する事もあります。

その他のめまい

中枢(脳)に原因があって起こっているめまいでは、フラフラするめまいを起こす他に、激しい頭痛、意識障害、言葉の障害、運動麻痺・知覚麻痺などを伴う事もあります。重心動揺検査を行う事で、内耳によるめまいではなく中枢(脳)の問題で起こっていると判断された場合には、連携している高度医療機関をご紹介して適切な医療をスムーズに受けていただけるようにしています。
顔面神経麻痺によるめまいの場合は、眼を閉じる事ができない・飲物が口からこぼれてしまうなど、顔面の症状を伴う事が多く、耳の痛みや聞こえにくさなどを生じる事もあるなど、特徴的な症状を起こします。顔面神経麻痺が疑われる場合にも、連携している高度医療機関をご紹介してできるだけ早期に適切な医療を受けていただけるようにしています。